カリオロジー(虫歯学)のブラッシュアップ / 新橋の歯医者ならナンバデンタルオフィス
2022/04/14
虫歯は砂糖が原因?
「虫歯はミュータンス菌と砂糖のせいで起こるんですよ」と説明を受けたことがあるあなた、残念ながらそれは昭和の常識。
令和のう蝕病因論(カリオロジー)は変わっています。
1889年にMillerが化学細菌説を提唱しました。
口腔細菌学の父とも呼ばれる彼は「乳酸桿菌をはじめとする細菌が糖を発酵し排泄した酸が歯を脱灰させる」「炭水化物なくしては酸はなく、酸なくしてう蝕なし」、そして「デンプンは生では発酵せず、う蝕と間径があるのは煮焼きしたデンプンだけ」と現代のカリオロジーの基礎を明らかにしました。
1898年に口腔内の細菌塊がプラークと名付けられ、う蝕の原因はプラークとなりました。
1924年にS.mutansが発見され、1960年代にS.mutansに砂糖(ショ糖)を与えるとう蝕を起こすことが実験的に明らかにされまいた。
1970年以降には、砂糖摂取により不溶性グルカンを歯面に形成するS.mutansとS.soburinusがミュータンス連鎖球菌と一括して呼ばれるとともに、ミュータンス連鎖球菌こそがう蝕原因菌と考えられるようになりました。
う蝕は「ミュータンス連鎖球菌」と「砂糖」で起こる病気となったのです。
ところが、1994年に発表されたMarshの生態学的プラーク仮設がカリオロジーを大きく変貌させました。「プラーク構成細菌が(ミュータンスレンサ球菌に限らない)、発酵性炭水化物(砂糖に限らない)から代謝産物として酸を産生し、う蝕が起こる」と、それまでの病因論に異を唱えたのです。
現在、この生態学的プラーク説は、研究手法の進歩にともない深化を続けています。