肥満度が高いと歯の喪失率が上昇。特に大臼歯の保有率低下に影響。
2022/11/29
肥満度が高いと歯の喪失リスクが上昇。特に大臼歯の保有者率低下に影響
近年の研究により、口腔と全身の健康状態には、様々な関連があることが解ってきました。
一方、肥満も糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病、心血管疾患、腎臓病、がんなど、様々な病気の重要なリスク因子であることも知られています。
健診データーをもとに、年代ごとのBMIと歯の本数を分析、肥満者(BMI25以上)と非肥満者(BMI25未満)の歯の喪失部位の比較を行いました。
その結果、40代以上の年代において、BMIが高いほど歯の本数が少ないことが判明しました。一般的に歯の喪失が起こり始める50代よりも若い段階で、肥満度が高いほど歯を喪失しやすい傾向がみられました。
更に肥満者は非肥満者と比較して、多くの部位の歯を喪失しており、30~60代のいずれの年代においても大臼歯(奥歯)及び上顎中切歯(前歯)の保有率が優位にに低いことも判明。
上顎の多くの歯においては、40代で既に両者の保有者率に顕著な違いがあり、肥満による保有者率低下の影響が最も大きく観察されたのは下顎の大臼歯でした。
また、肥満に喫煙習慣が加わることで歯の喪失リスカは増大し、肥満が影響する部位と異なる部位の歯の喪失にも影響を及ぼしていました。
今回の大規模研究により、肥満者の歯の喪失を防ぐためには、生活習慣の改善による減量や禁煙に加え、喪失リスクが高い下顎の大臼歯を中心に、適切なオーラルケア並びに早期の歯科受診・治療が重要だと考えられます。