歯周病原菌による腸内環境への悪影響で、非アルコール性脂肪性疾患が悪化
2022/05/25
顕著なアルコール摂取がないにもかかわらず、肝臓に脂肪が蓄積する非アルコール性脂肪性疾患。
この疾患は、脂肪蓄積があってもほとんど進行せず予後が良好な非アルコール性脂肪性疾患と、脂肪変性に加え炎症・線維化が顕著で肝硬変や肝臓癌に進行するリスクが高い非アルコール性脂肪性疾患の2種類に分類されます。
後者は肝臓関連死が優位に高く、心疾患によって死亡する可能性も高くなることが報告されているといいます。
患者数は世界的にも増加の一途をたどり、日本でも1000万人以上の人が罹患していると言われています。
非アルコール性脂肪性疾患の悪化に、飲み込まれた歯周病原菌による腸内環境の変化が関係していることが明らかにされました。
非アルコール性脂肪性疾患のモデルマウスに、健康な状態と歯周病の様態を代表する口腔細菌(口の中の歯周病原菌)を投与してそのメカニズムを解析。
その結果、歯周病と関連する細菌を投与した場合に、非アルコール性脂肪性疾患が優位に重症化しました。
特にジンジバル菌は腸内細菌機能や腸内細菌代謝物を変化させるとともに、腸管のバリア機能を低下させ内毒素血症を誘発することで、肝臓の機能に悪影響を与えることが判明しました。
口の中の健康維持は、腸内環境を通じて全身の健康に深く関わっていることは間違いないようです。