歯周病治療が大腸がんの発がん予防や進行抑制に寄与する可能性がある
2022/05/25
近年、歯周病に関連する口腔内常在菌フソバクテリウム・ヌクレアタムが、大腸がんの発生や進行に関係している可能性があり注目をされています。
そんな中、フオバクテリウム・ヌクレアタムが歯周病の治療により、便中から減少することが明らかになりました。
研究では、大腸内視鏡検査により大腸腫瘍を認めた患者さんの唾液や便、大腸腫瘍組織の一部を採取。
三ヶ月間歯周病の治療後に大腸腫瘍を切除し、再び唾液、便、腫瘍組織を採取し、歯周病治療後のフソバクテリウム・ヌクレタムの動向を調べました。
その結果、唾液や便の動向に有意な変化は見られなかったが、歯周病治療が成功した患者さんは、便中のフソバクテリウム・ヌクレアタムが減少したが、歯周病が改善しなかった患者さんでは減少しなかった。
また、異型度が強い腫瘍組織を持つ患者さんは低異型度の腫瘍組織のみの患者さんに比べ、便中のフソバクテリウム・ヌクレアタムが多く検出され、腫瘍の進行に伴いフソバクテリウム・ヌクレアタムが増加していくことも示唆された。
大腸がんの罹患数は悪性腫瘍の中でも肺がんに次ぐ第2位。
予防は喫緊の課題となっている。
胃がんはピロリ菌を除菌することにより予防効果があると知られているが、大腸がんについては特定の微生物をターゲットにした予防法は確立されていません。
歯周病治療が大腸がんの発がん予防や進行抑制に効果があるのか、今後の研究に注目が集まります。